前回は電話の取り次ぎの苦労話をしました。
電話の苦労は取り次ぎだけではありません。
プライベートでも苦労しているのが、企業などに問い合わせの電話をかけた時に流れる自動音声案内です。
「***のことについては1を」って奴です。
どの用件か選べと言われても、音声悪すぎてさっぱり聞き取れません。
今回は自動音声案内の・・・・・・、ほぼ愚痴です (^^;)
■私の難聴
私は20代半ばに難聴を発症した中途難聴者で、元々は健聴でした。
発症した時の難聴度は軽度でしたが、進行性なので、徐々に聴力を落として現在は障害者の仲間入りをしています。
難聴を発症した当初は一部の周波数にのみダメージが見られる状態でした。
その後、高音は失聴しましたが、低音は正常な聴力を保っていたので、補聴器を装着せねばならなくなったのは発症してからだいぶ経ってからでした。
低音が普通に聴こえているので 音量自体に不足感はなかったのですが、喪失している音があるため 聴こえる音が狂うのは早かったです。
ちなみに、私たちが話す言葉の発音は複数の周波数の組み合わせで形作られています。
その発音を形作っている周波数に抜けが生じれば、当然に音は狂ってしまうでしょう。
私の耳はそういう耳なのだと思います。
そんな状態だったので、「補聴器はまだ必要ありません」と言われている軽度の時から音の狂いは出ていました。
軽度の時の狂いは一部だったので、きっかけがなければ自覚のないまま、”自信を持って”聞き間違えていたと思います。
私が気付いたきっかけは、NTTの電話番号案内でした。
正確に聞き取ったはずの電話番号なのに 何度かけても繋がらないということが何回かあって、他の人に試しに聴いてもらったら、私の耳に聴こえる数字とは違っていたのです。
正しい電話番号を知った上で、再度、聴き直してみても私には違う番号にしか聴こえません。自分の耳が狂っているのだと自覚した時は とてもショックでした。
■自動音声案内は難聴者泣かせ
その後、難聴の進行とともに不鮮明な音が増えて行きました。
私が最初に難聴の困難に遭遇したのは、企業に問い合わせした時の「***のことについては1を」という自動音声案内でした。
人間とはまだ普通に話せていた時なので、人さえ出て来てくれたら今まで通りなのですが、そこに立ちはだかったのが自動音声案内だったのです。
何と言っているのかさっぱり分からなくて考え込んでいる間に次々自動音声が流れます。
人間なら直ぐに聞き返せるので困りません。
正確に聞き取れたか自信が無ければ「今、***と言いましたか?」と確認できるので、聴力がだいぶ落ちても人間相手なら電話は可能でした。
だけど自動音声案内は無理です。
こちらが戸惑っていても待ってはくれません。
無情にも、同じスピードで 音声は流れ続けます。
聞き直したければ、最後まで聞いて、最初から聞き直し。
延々とそれを繰り返すこともありました。
最悪なのは「もう一度お聞きになりたい方は・・・」の指示が分からない時です。
9なのか*なのか他の数字なのか聞き取れず、どれを押すか迷っている内に電話が切れてしまうこともありました。
狂って聴こえる音は何度聴いても同じように狂っているので、聞き取れない言葉を全く同じように繰り返されても、聞き取れません。
可能性のある言葉を推測して、文字数やイントネーションが合う言葉を脳内で探すような聞き方になるので、健聴者なら数十秒で必要な部署に繋げることができるところ、難聴の私は何度も聞き直さねばならないので何十分もかかってしまいます。最悪は 諦めざるを得ないこともあります。
自動音声案内はほんとに難聴者泣かせです。
■終了しないでほしい!『みえる電話』サービス
今の私の聴力は重度手前まで落ちていて、聞き取りは更に悪化しています。
なので、電話を諦めていました。
だけど 今は電話を使っています。
これは 通話の文字起こしアプリが使えるおかげなのですが、このサービスは2024年3月で終わってしまうそうです。
サービスを続けて欲しいという気持ちと、新たに誰かが電話用の文字起こしアプリを作ってくれたら嬉しいなあという気持ちを込めて、私が現在使っているドコモの『みえる電話』のことを語りたいと思います。
『みえる電話』とは、通話の内容を文字にしてくれるアプリ(ドコモのサービス)のことです。
念のために書き加えておくと、このアプリだけで電話が可能になったわけではありません。
性能がアップした補聴器と、このアプリの両方を使うことで電話が可能になりました。
私が今使っている補聴器は、4年ほど前に買い換えたものなのですが、以前の補聴器と大きく異なるのが、電話の音声をBluetoothで補聴器に飛ばせるようになったことです。
電話の音声が直接補聴器に入るため、格段によく聴こえるようになりました。
耳で聴くというより、頭の上に音声が広がる感じです。
但し、自分の耳のクリアさが改善されるわけではないので、聞き取れない言葉は聞き取れません。
そこで活躍しているのが『みえる電話』です。
音声を補聴器に飛ばすので スマホを耳に当てる必要はありません。
なので 補聴器で普通に会話しながら、スマホの画面で文字をチェックできるのでとても便利です。
聞き取れない時に、文字のヒントがあるのは本当に助かります。
私が現在 一番 助かっていると感じているのが、中等度の時から苦労していた自動音声案内の聞き取りです。
このアプリのおかげで問い合わせもできるようになりました。
もちろん繋がった後も、聞き取れない時の助けになります。
少々誤変換が多いのは玉に瑕ですが、相手に事情を話して、正しく変換されるようにゆっくりはっきり話して欲しいとお願いすることは可能なので、話が聞き取れなくてお手上げということはなくなりました。
ちなみに、失聴者が使うには、誤変換が多いので厳しいと思います。
あくまで音声を聴きながら補足的にカバーするのに便利なアプリで、スマホとペアリングできる補聴器を使っている中等度から高度難聴者向けのサービスだと言えます。
電話の音声を補聴器に飛ばせるようになったのはそんなに前のことではないので、これからこのタイプの補聴器を使う人は増えると思うだけに、このタイミングでの終了はとても残念です。
そして、すでに利用している私にとっては 不便への逆戻りですから、残念を通り越して、落ち込むほどショックです。
ちなみに聴覚障害者など音声で話せない人のために、2021年7月より『電話リレーサービス』が開始しています。
これを使えばいいじゃないのと言う人がいますが、これは音声会話ができない人を想定しているので、手話か文字入力の二択です。現状では文字を選べばこちらも文字入力をせねばならないので話せる難聴者には不便です。
音声会話がまだ可能な難聴者にとっては、音声を聴きながら聞き取れない言葉をリアルタイムに文字で確認できる自動文字起こしの方が やっぱり便利です。
なので、私個人としては『みえる電話』サービスはこのまま継続して欲しいと強く願っています。
それが無理だとしたら、これに変わるサービスを探さなければなりませんが、通話の文字起こしは少なく、探してもメーカー限定だったりで、今の私のスマホでは使えません。
どなたか便利な通話用のアプリを作ってくださったら嬉しいのだけどなあ。
いろいろ願いながら、今日はここで終わります。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
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[前回のナンチョー日記]
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ナンチョーな私の気まぐれ日記(37)電話の取り次ぎ
[次回のナンチョー日記]
↓
ナンチョーな私の気まぐれ日記(39)ドラマ『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』を聴覚障害者の私が観た感想①聴覚障害の情報が省かれていたのは残念
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