障害者への合理的配慮①聴覚障害(言語障害)

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聴覚障害

皆さんは『障害者への合理的配慮』をご存知でしょうか?
2016年4月に障害者の権利に対する『障害者差別解消法』が施行され、これにより障害者への「合理的配慮」が必要となりました。
当初は行政機関は義務でしたが、民間の事業者は努力義務でした。
それが 2021年の法改正により、2024年4月から 民間の事業者も障害者への合理的配慮が義務となりました。

義務化されたとはいえ、今も「合理的配慮って何?」という人が多いと思います。
障害者に接した経験がなければ 配慮が必要と言われても「実際にはどうすればいいの?」と戸惑う人が大半でしょう。

聴覚障害を持つ私でさえ、合理的配慮と初めて聴いた時には「?」でした。
困っている事は沢山あるのですが、”どこまでが合理的配慮なのかしら?”という感じでした。
ましてや、他の障害となると、私も知らないことだらけです。

そこで、障害ごとに、どういうことに気を付ければ良いのか私自身も学ぶことにしました

そこで目を付けたのが、合理的配慮の具体例をまとめた内閣府の資料です。
聴覚障害のところを読む限り、きちんと事例を収集していると感じたので、これを読む事から始めたいと思います。
この内閣府の事例集は117頁あって、「合理的配慮」「環境の整備」「合理的配慮+環境の整備」の3パターンに分けて各障害への配慮の事例が掲載されています。
配慮の方法はこれだけではないし、障害者の状態は皆違うので 事例の対応が必ずしも正解というわけではありませんが、どんな配慮ができるかを考える上での最初の一歩としては参考になると思います。

このブログでは、障害ごとに まとめていきます。
初回は【聴覚・言語障害】についてです。

各障害について一度に読みたい方は、内閣府のHPを参考にしてください。
   ↓
【合理的配慮事例集(内閣府)】
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/example.html
※下段にPDF形式とTXT形式のボタンがあります。

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■最初に「聴覚障害者の私が知って欲しいと思う事」

事例をまとめる前に、聴覚障害の当事者として伝えておきたいことがあります。
主に伝えたいことは以下の4つです。
①聴こえの個人差は大きく、障害の状態によって 必要な配慮が違います
②障害を負ったタイミングや、育った環境などにより、同じ聴覚障害者でも得意なコミュニケーション手段が異ります
③聴覚障害者=手話ではありません。障害者の母語によって必要な配慮は異なります
④難聴と聞くと、音量が足りなくて音が聴こえないだけだと思っている人が多いのですが、それは違います。音が聴こえても、聴こえる音が狂っているため、聞き取れなくて困っています

障害者への配慮は、相手の状態を理解しないと適切な対応はできません。
なので、考えるための知識として上記の4つのことについて少し説明しておきます。
聴覚障害はコミュニケーションに大きく影響するので、障害を負ったタイミングなどで必要な配慮に違いが出ます
言葉を獲得した後で聴覚障害になった中途難聴者は聴くことは困難でも話すことはできます。
一方で、生まれた時からの聴覚障害者は、正確な発音を耳で聴いたことがないので、発音の仕方を他者に指導してもらいながら体で覚えます。この発音の獲得は、少しでも聴こえるか、全く聴こえないかで全然違い、獲得の個人差も大きく、中には全く話せない人もいます。
話せるか話せないかで、当然、必要な配慮も違ってきます

また、『聴覚障害者=手話』とのイメージがあるようですが、イコールではありません
手話を母語として育った人には手話通訳は有りがたいですが、手話を知らない人に手話通訳をつけてもチンプンカンプンです。
難聴者の多くは日本語が母語なので 手話を使わない人の方が多いのです。
特に健聴者しかいない環境で生活している中途難聴者は手話に触れる機会もなければ、手話を使う必要性もないため、手話と無縁の難聴者が多いです。
手話の習得を目指すのは 自らの意志という点では健聴者と同じなわけです。
むしろ健聴者の方が習得は有利で、中途の失聴・難聴者の方が習得のハードルが高いのが実情です。なぜなら、ブームに乗って健聴者向けの手話講座やサークルは増えていますが、難聴者向けの講座は極めて少なく、地域によっては皆無だからです。
健聴者向けの講座やサークルに参加すれば良いではないかと思う人がいるかもしれませんが、手話を全く知らない難聴者が音声と手話だけで進行する講座に参加するのは厳しいです。そういう事情もあって、難聴者の多くは手話と無縁で過ごすことになります。
なので、聴覚障害者への配慮は、手話通訳がベストの人もいれば、要約筆記などの文字によるフォローが必要な人もいるということを知っておいてください。

そして、なかなか理解してもらえなくて困っているのが、音が聴こえても聞き取れないということです。
音に反応すると普通に聴こえているように見えますが、まともには聴こえていないのです。
これも個人差がすごく大きいです。
難聴は「軽度~中等度~高度~重度」と開きがあり、障害者として認定されるのは高度からですが、高度~重度の差も大きく、補聴器をすれば辛うじて会話が可能な人から、完全失聴している人まで状態は異なります。
だけど、軽度も含めて難聴者の苦労に多いのが、聴こえる音に大なり小なり壊れが生じていることです。
難聴者は聴こえる音量が足りないだけでなく、聴こえている音に不鮮明な音が混じるため、言葉が聞き取りにくいのです。
ちなみに「不鮮明」と聞いて健聴者が想像するのとはちょっと違います。
全く別の音に変質していることもあり、自分の耳は信用できません
これも少しの狂いの人と、全音破壊状態の人まで、人によって全然違います。
少しの狂いの人だと繰り返し話すことで伝わることはあるけれど、狂いの大きい人は殆ど空想で聞いている状態なので 全く違う情報を想像して 間違った情報を受け取ってしまうこともよくあります。

ちなみに、難聴者はよく聞こえた振りをします。
これは健聴者から見ると「なぜ、聞き返さないの?」と思います。
だけど、これは話し手のせいでもあります
何度も聞き返すと相手が不機嫌になるので 難聴者は聞き返せなくなるのです。
難聴者の聞き返しは、健聴者の聞き返しとは全く違うことを知ってください。
健聴者には想像しにくいと思いますが、何度聞き返しても不鮮明な言葉(狂った音)は同じように狂った音(不鮮明)にしか聴こえません。だから、何度聞き返したところで聞き取れないのが分かっているので聞き返さなくなるのです。
相手をイライラさせたくないし、怒鳴られたくもないし、聞き返して分からないでは申し訳ないしと、難聴者の心の中は複雑です。
ちなみに3回以上聞き返すと、大抵の人は大声を出します。これが怒鳴り声レベルになると音が割れて却って聞き取れません。そういうことも知っておいてほしいです。

難聴者の多くは、頭の中で言葉を推測しながら話を聞いています
口の動きや表情、ジェスチャー、文字や図といった見える情報を手掛かりに想像しています
その難聴者が「聞き取れない」と訴えれば、その音声に当てはまる単語が思いつかなくて困っているということなので、音声で同じ単語を繰り返すのではなく、違う言葉に言い換えてみたり、それでも分からなければ『書く』など見える形で伝えるようにしてほしいのです。

難聴は音が聴こえないだけでなく、言葉の不鮮明さに苦労しているのだということを知ってください。

それでは、ここからは、内閣府の事例を参考に見ていきます。
今回は『聴覚・言語障害』の項目のところだけ抜粋して下記にまとめました。
文章が分かりづらいと思った部分は、少し書き換えています
青文字は、聴覚障害を持っている当事者(私)の意見や追加要望です。

事例集では『合理的配慮の提供事例』『環境の整備事例』『合理的配慮の提供+環境の整備事例』の3つに分かれていたので、ここでも同様に分けて掲載します。

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■合理的配慮の事例【聴覚・言語障害】

普段、配慮してもらいながら生活をしていると、『合理的配慮』と『環境の整備』に書かれていることを分けては考えにくいのですが、冊子に合わせて分けて掲載します。ちなみに、この『合理的配慮の事例』に書かれている内容は比較的取りかかりやすい内容です。

【Ⅰ. 生活場面例:行政】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。

事例Ⅰ-①
会話や筆談することが難しいため、音声出力と文字表示ができる携帯型の意思伝達装置を市役所内に持参したいとの申し出があった。
(対応例)窓口でのやり取りが円滑になるよう、市役所内への当該機器の持参・利用が可能であることを案内した。

事例Ⅰ-②
左耳のほうが聞き取りやすいので、参加予定の講習会では、講師に向かって右側の位置に配席してもらいたいとの要望があった。
(対応例)希望に沿う位置に配席した。

事例Ⅰ-③
会議の傍聴時にパソコンによるノートテイクを行いたいとの要望があったが、パソコンの持込みが禁止されている。
(対応例)一律にパソコンの持込みを禁止するのではなく、個別に判断して必要と認められる場合には持ち込めるようにした。

事例Ⅰ-④
会議での音声が聞き取れない。
(対応例)音声を文字に変換するアプリが搭載されたタブレットを提供し、当該タブレットを使用してもらうことで会議の内容を伝えた。

事例Ⅰ-⑤
市が主催する連続講座にオンラインで参加したい。
(対応例)会場に要約筆記者を配置し、遠隔で要約筆記画面を視聴してもらった。

【Ⅱ. 生活場面例:サービス(小売店、飲食店など)】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。青文字は私個人の意見です。

事例Ⅱ-①
食券制の飲食店で、呼ばれたらカウンターまで自分で取りに行く仕組みになっているが、呼ばれても分からない。
(対応例)呼ばれても分からないという申出があったので、身振りによって料理ができたことを伝えた。それでも気づかなかったようなので、店員が座席まで配膳した。

事例Ⅱ-②
飲食店ではメニュー表への指差しで注文しているが、細かい希望を伝えることが難しい。
(対応例)麺類を扱っているお店で、これまでは注文された麺類を出すだけだったが、筆談ボードを使って「固い麺か柔らかい麺か」、味付けについて「辛口か甘口か」などを店員が聞いて、他のお客と同じように細かい注文にも対応するようにした。
※訊くことが決まっているならば、あらかじめ 質問表を作っておき、指差しで選んでもらうとスムーズです。(話せない人への配慮にもなります)

事例Ⅱ-③
イベント開催時に手話通訳者が配置されていたが、会場が薄暗くて手話がよく見えない。
(対応例)スポットライトを調整し、手話通訳者の立ち位置が明るくなるようにした。

事例Ⅱ-④
会員登録の内容を変更したいのだが、受付が電話のみのため手続を行うことができない。
(対応例)受付用ではないが他の業務で使っているFAXがあったので、そちらに新しい登録事項を連絡してもらい変更手続をした。
※そもそも「電話では無理」だと伝えるための窓口に繋がることができずに困ることが多いので、環境の整備の対応例にもあるが、メールなどで問い合わせできる窓口がほしいです。

事例Ⅱ-⑤
検定試験の開始前に監督者から注意事項が述べられるそうだが、口頭だと内容が分からない。
(対応例)注意事項を文章にしたものを配布した。

事例Ⅱ-⑥
携帯電話のキャリア変更手続の中に自動音声案内によるものがあり、聴覚障害者は自身で手続ができない。
(対応例)指定日時に自動で変更処理される方法や、実施希望日を伝えれば会社側による手動の手続ができることも案内した。
※これも、まずは「音声では無理」だと伝えるための難聴者用の窓口がほしいです。

事例Ⅱ-⑦
ケーブルテレビ会社の社員が訪問してきたが、聴覚障害があるため口頭で説明を聞くことができない。
(対応例)聴覚障害者に対し、細かく書いたメモで説明を残すようにした。

事例Ⅱ-⑧
保険の加入手続をしたいが、聴覚障害があるため口頭での説明を聞くことができない。
(対応例)代理店の担当者が、筆談を交えながら保険内容の説明を行った。

事例Ⅱ-⑨
スマートフォン等決済アプリの登録手続の一部に、音声による確認が必要な部分があり、手続ができない。
(対応例)本人の了承を得た上で職員が本人に代わって手続を実施した。

事例Ⅱ-⑩
お金を借りたいと思い無人の契約機店舗に行ったところ、ガイドフォンによる通話でしか契約手続ができず困っている。
(対応例)メールにて必要書類及び有人店舗検索リンクを案内した上で、無人の契約機ではなく店頭窓口での契約手続を行った。

事例Ⅱ-⑪
固定電話の移転手続が電話のみでの対応となっており手続ができない。
(対応例)書面での移転手続を行うこととした。

【手続きや問い合わせに関する要望】
下記にまとめている『環境の整備』の対応例の中にもありますが、問い合わせにメールが使えると有りがたいです。
※現況ではネットで問い合わせしたくても、電話番号しか記載のない所も多く、連絡ができなくて困ることが多いです。
※聴覚障害者用にFAX対応している所もありますが、携帯電話が主流の現在、固定電話(FAX)を持っていない難聴者は増えているので、メールなどの連絡方法もあると有りがたいです。

【Ⅲ. 教育場面例:教育】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。青文字は私個人の意見です。

事例Ⅲ-①
難聴がある影響で、授業を聞くこととノートを書くことの両立が難しいときがある。
(対応例)授業の撮影は禁止されているが、障害の状況等を踏まえ黒板の撮影を認めることとした。

事例Ⅲ-②
出席点呼を聞き取れないが、他の生徒と同じように返事をしたいとの要望があった。
(対応例)出席点呼をするときには、口頭だけではなく身振り・指文字・手話などを加えて、その生徒に自分の順番となったことが伝わるようにした。

事例Ⅲ-③
難聴のため、音楽の授業で扱う曲について、当日初めて聴くと内容がよく分からないとの訴えがあった。
(対応例)学習予定曲のCDを貸し出し、事前に聴いておくことができるようにした。
※難聴には個人差はあるが、感音難聴の場合、不鮮明な音が混じるため 何度も繰り返し聴かないと分からない場合がある。なので、申し出がなくても難聴だと分かっている人には、事前にCDを貸し出すことをルール化しても良いと思う。(学生の中には不自由だと言い出せない人もいると思うので)

事例Ⅲ-④
聴覚障害により聞き取りに困難があることから、音声のやり取りが必要なリスニング等の試験を受験することができない。
(対応例)リスニング等の音声のやり取りが必要な試験は、代替の課題を設けて点数を補えるようにした。

事例Ⅲ-⑤
聴覚障害があるが、学校で友人達とコミュニケーションをとりたいとの相談があった。
(対応例)本人の了承を得て、教員が他の生徒等に対して、本人とのコミュニケーションの際は、ホワイトボードに書く、実物や絵、カード、図など視覚的な手がかりを用いる、話すときにゆっくり・はっきりと口元が見えるような話し方で伝えるといった方法を説明し、そのことにより簡単なコミュニケーションがとれるようになった。

事例Ⅲ-⑥
講義の内容が雑音で聞き取りにくいときがあるので、座席を配慮してほしいとの要望があった。
(対応例)教員の口元が見え、本人の聞き取りやすい位置に座席を変更した。

事例Ⅲ-⑦
遠隔授業で使用される動画に字幕が付いていないため、動画に字幕を付けてほしいとの要望があった。
(対応例)配信型の授業で字幕挿入の希望があった映像には字幕を付けるか、又は書き起こしテキストを作成した。

事例Ⅲ-⑧
聴覚障害があるが、自動車教習所へ入所し、運転免許を取りたいとの要望。
(対応例)安全運転相談を行った結果を踏まえ、技能教習では必要に応じ筆談や音声を文字変換するスマートフォンアプリの活用を行うとともに、学科教習においても字幕を利用するほか、指導員は透明マスクやフェイスガードを使用し、教習生に一番前に座ってもらい読唇できるようにゆっくり・はっきりとした声で講義するようにした。またマンツーマンでの学科教習なども行った。

【講義や講習会に関する要望】
座席の要望は聞き入れてください。
これは過去の私の経験談ですが、受講したい講座があって、主催者に「私は難聴なので音源に近い前の席に座らせてもらえないでしょうか」と相談したことがあるのだが、「皆、同じ料金を払っているのにあなただけ特別扱いはできない」と断わられました。
健常者間の理屈としては正しいのですが、障害のある私にとっては、声が届かなければ講座に参加しても意味がないため、講座を受けることを断念せざるを得ませんでした。
こういうふうに障害者を締め出してきたのが過去の社会。
障害者にも受講のチャンスを与えるのが合理的配慮です。

【Ⅳ. 生活場面例:医療・福祉】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。青文字は私個人の意見です。

事例Ⅳ-①
病院の待合室で診察順を待っているとき、呼ばれても分からない。
(対応例)通常は診察室から次の受診者の名前を呼んでいるが、待合室の座席まで呼びに行くようにした。
※聴こえの配慮を頼む受付と実際に呼びに来る人が異なる場合、よくあるのがマスクをしたまま声で呼ばれることです。看護師さんが来たことは分かっても、声が聴こえないので自分が呼ばれていることは分かりません。せめてマスクを外すか、番号か名前を書いた紙を掲げるなどの工夫はほしいです。

事例Ⅳ-②
聴覚障害があるということで以下の配慮を頼まれた。電話でのやり取りが難しいため、病院との連絡はメールでしたい。また、家族の付添いが困難なので、診察中の要約筆記をしてほしい。
(対応例)緊急時以外は郵送により連絡するが、病院へ何か連絡などがある場合は事務職員宛てにメールするよう伝え、メールでやり取りした。また、診察中はポイントを筆談で伝えるようにした。

事例Ⅳ-③
病院でエコー検査を受けたが、検査技師が何を話しているのか分からない。
(対応例)エコー検査をするときは検査技師の手が塞がっているため筆談は難しいが、検査技師とは別のスタッフが筆談対応するようにした。

【Ⅴ. 生活場面例:災害等】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。

事例Ⅴ-①
避難所で弁当の配給時間などのアナウンスがあっても、聞こえないので情報を得ることができない。
(対応例)掲示板やホワイトボードなどを用いて、アナウンス内容を文字化してお知らせするようにした。

【Ⅵ. 生活場面例:新型コロナウイルス感染症対応】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。青文字は私個人の意見です。

事例Ⅵ-①
感染症の感染予防のため、お店で一定の距離を空けての会話が徹底されているが、耳元で大きな声で話してもらわないと聞き取ることが難しいので困っている。
(対応例)感染症の感染防止のため、耳元への大きな声の呼び掛けが難しいが、筆談器又はコミュニケーションボードの利用を案内し、希望に応じて対応した。
※誤解が生じると困るので書いておきます。耳元で大声を出して欲しい難聴者は補聴器をしていない人だと思います。通常は必要な音量を補聴器で入れているので、補聴器をしている人の耳元で大声を出すのはNGです。なので普段から筆談やコミュニケーションボードの活用は念頭に置いておいてください。

事例Ⅵ-②
日常生活で相手の口の動きから話している内容を読み取っていたが、マスクの着用で相手の口の動きが確認できず困っている。
(対応例)メモ、ホワイトボード、筆談器やコミュニケーションボードを使って案内した。

事例Ⅵ-③
授業を受けるときに先生の声をデジタルワイヤレス補聴器で聞き取り、口の動きで内容を読み取っていたが、先生がマスクを着用していると口の動きが読み取れない。
(対応例)生徒には教室の前方に座ってもらうとともに、教卓との間を透明シートで仕切り、教員はマスクを外して授業を行うようにした。

事例Ⅵ-④
妊娠・出産に備えた個別の保健指導を受けたいが、マスク着用での応対では話している内容が分かりづらい。
(対応例)口元が見えるよう、フェイスシールドを着用して保健指導等を実施した。
※事例Ⅵ-②③④ではマスクで口の動きが読めないことを訴えているが、よくある誤解に難聴者は口を読めるというのがあります。口の動きだけで話を理解できる人は稀です。多くの難聴者は口の動きをヒントに言葉を推測しているだけなので、推測ミス(聞き間違い)は結構あります。なので、重要なことは必ず書くようにしてほしいです。

事例Ⅵ-⑤
いつも店頭で筆談による投資相談をしていたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からお店が臨時休業となって相談ができなくなってしまった。
(対応例)感染防止策を講じた上で、事前に連絡をすれば面談が可能である旨をメールで説明し、希望により来店できるようにした。

事例Ⅵ-⑥
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、事業者のサービス提供受付窓口は当面の間休止すると言われてしまい、サービスが受けられず困った。
(対応例)メール・郵送でのやり取りによりサービス提供を行った。

事例Ⅵ-⑦
新型コロナウイルスワクチン接種会場での説明が聞こえない。
(対応例)接種会場での手話通訳を実施した。
※手話を使えない難聴者のために要約筆記も必要。

【Ⅶ. 生活場面例:その他】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。

事例Ⅶ-①
自治会が主催する住民行事(球技大会)に、聴覚障害のある子供も参加できるよう配慮してほしいとの要望。
(対応例)事前に行われるルール説明会において、聴覚障害のある子供も参加する旨を伝えるとともに、他の参加者と一緒に競技できるよう音声ではなく視覚的に伝える工夫について話し合って合意形成を図った。

事例Ⅶ-②
法律相談の申込みが本人からの電話のみとなっているが、聴覚障害があるため本人からの申込みができない。
(対応例)郵送で申込みをしてもらい、その返信で日程を連絡することにした。当日は、筆談を交えて相談を実施した。

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■環境の整備事例【聴覚・言語障害】

環境整備にはお金がかかりますが、その中には健聴者にも役立つ設備なども多々あるので、ぜひ導入を検討していただきたいと思います。

【Ⅰ. 生活場面例:行政】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。青文字は私個人の意見です。

事例Ⅰ-①
整理券方式の受付窓口で自分の順番になったことが分かるようにする例。
(事例)順番になったことが視覚的に分かるように、整理番号が表示される電光掲示版を設置した。

事例Ⅰ-②
受付窓口に手話通訳者を置く際に工夫した例。
(事例)予算面から常駐は難しかったものの、定期的に手話通訳者が受付窓口に派遣される仕組みを設けるとともに、派遣される日を広報した。

事例Ⅰ-③
対応時間外における訪問の際に不便を感じないよう工夫した例。
(事例)カメラ・モニター付きのインターホンを設置し、身振りや筆談なども伝わるようにすることで訪問がしやすくなった。

事例Ⅰ-④
聴覚障害者でもホームページの広報動画の内容が理解できるよう工夫した例。
(事例)広報動画に字幕を表示できる機能を追加するようにした。

事例Ⅰ-⑤
DVの相談窓口の連絡先を工夫した例。
(事例)窓口の連絡先として、電話番号だけでなくFAX番号やメールアドレスも示すこととした。

事例Ⅰ-⑥
補聴器を使用する方が円滑に会議に出席できるよう工夫した例。
(事例)ペン型のワイヤレスマイク補聴器専用受信機を購入し、会議時等に貸与した。

事例Ⅰ-⑦
大きな会場で開催されるフォーラムにおいて手話通訳者が見やすくなるよう工夫した例。
(事例)会場全体から手話通訳者の手話が見えやすいように、高さ60cmほどの台を用意し、手話通訳者を見やすい前の席を希望者向けに確保した。また、拡大スクリーンも設置し、後の席からも見やすいようにした。
※手話通訳だけでなく、スクリーンにパソコン筆記や要約筆記等の文字も流してほしい。

【Ⅱ. 生活場面例:サービス】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。青文字は私個人の意見です。

事例Ⅱ-①
聴覚障害者に受付の順番が来たことを伝えられるよう機器を導入した例。
(事例)順番になると振動してお知らせする機器を導入した。

事例Ⅱ-②
難聴の方がコミュニケーションを取りやすいように準備した例。
(事例)受付窓口に指向性の対話支援機器を備え、店員が話したことを聞き取りやすいようにした。

事例Ⅱ-③
筆談をするために機器を導入した例。
(事例)タブレットを導入し、店員が話した内容が文章に自動変換されるアプリをインストールした。

事例Ⅱ-④
窓口に手話通訳者を置く際に工夫した例。
(事例)全ての店舗の窓口に手話通訳者を常時配置することは難しいので、事前に連絡をいただいて基幹店舗から派遣する仕組みを設けた。

事例Ⅱ-⑤
銀行のカードに関する手続が円滑にできるよう工夫した例。
(事例)テレビ電話を通じ、手話と筆談で意思疎通を図る手話通訳のサービスを導入した。

事例Ⅱ-⑥
通信販売の受付方法を改善した例。
(事例)電話受付のオペレーターに加え、FAXや電子メールによる受付のオペレーターも配置した。

事例Ⅱ-⑦
聴覚障害者の劇場での鑑賞が可能となるよう機器を導入した例。
(事例)ポータブル字幕機器を導入し、希望者への貸出しを始めることとした。また、劇場に磁気ループを設置し、補聴器や人工内耳へ音声を送れるようにした。

事例Ⅱ-⑧
通知に掲載する問合せ先を工夫した例。
(事例)電話番号に加え、FAX番号も掲載した。
※FAXを持っていない人のためにメールやチャットなどの対応もほしい。

【Ⅲ. 生活場面例:教育】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。

事例Ⅲ-①
入学式と卒業式における情報保障を工夫した例。
(事例)パソコン文字通訳及び手話通訳による情報保障を行うこととし、会場のモニターにパソコン文字通訳の字幕及び手話通訳の動画を表示した。

事例Ⅲ-②
聴覚障害のある生徒等が授業を受ける際の情報保障の例。
(事例)生徒等が文字通訳するノートテイクに加え、授業中の発話を見える化するためのパソコン要約筆記音声文字変換システムなどによる情報保障の導入を行った。
机・椅子の脚のノイズ軽減の対策を行った。

事例Ⅲ-③
補聴器を使用している生徒が授業を受ける際の情報保障の例。
(事例)携帯できるFM音声送信機を導入し、話し手はそれを装着して授業を行うこととした。また、本人から申出があれば、ノートテイカーを配置できるようにした。
教務担当部署でデジタルワイヤレス補聴援助システム(音声を補聴器等に送信し聞き取りを補助する機器)を購入し、利用の際に貸し出すこととした。

事例Ⅲ-④
ゼミ形式の授業で活発な議論が交わされたときに、議論のやり取りをフォローするために対応した例。
(事例)筆談などにより議論のやり取りを素早く伝えるのは困難であったことから、手話通訳者と派遣契約をし、授業の補助員として配置した。

事例Ⅲ-⑤
化学反応などを伴う実験を行う際に、安全を確保できるよう整備した例。
(事例)非常時の警報が視覚化されるように、回転灯で知らせる装置を実験室に設置した。

事例Ⅲ-⑥
聴覚に障害のある学生に必要な支援ができるよう、周囲の者に対し研修を行った例。
(事例)学生や教職員を対象とした手話講習や要約筆記講習を実施した。

事例Ⅲ-⑦
聴覚障害者もオンライン授業の内容が分かるよう工夫した例。
(事例)視覚的にも情報が伝わるように音声文字変換ソフトを導入した。

【Ⅳ. 生活場面例:交通・移動】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。

事例Ⅳ-①
高速道路の無人料金所における障害者手帳の提示方法を工夫した例。
(事例)これまで障害者手帳の提示方法を音声のみで案内していたが、呼び出しレバーを下げ、カメラに向けて手帳を提示することで確認が可能となる機械を設置した。

【Ⅴ. 生活場面例:災害等】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。

事例Ⅴ-①
聴覚障害者向けに警報装置を改善した例。
(事例)災害情報を登録された電子メールのアドレスへ配信する警報システムを導入した。また、普段は業務のお知らせなどを表示している電光掲示板に、災害時には緊急速報などの情報が表示されるようにシステム改修を行った。
警報サイレンと連動して視覚で認識できる警報機補助装置を部屋に設置した。

事例Ⅴ-②
災害時に聴覚障害者が自身の障害について周囲に示せるよう工夫した例。
(事例)公的機関などで配布されている『災害時バンダナ』(耳が聞こえないことを示すバンダナ)を取り寄せて、非常時に着用できるようにした。

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■合理的配慮及び環境の整備の提供事例【聴覚・言語障害】

【Ⅰ. 生活場面例:サービス】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。青文字は私個人の意見です。

事例Ⅰ-①
化粧品を買いたいが、聴覚障害があり、店員の説明が聞こえづらい。
(対応例)
接客の際に、店員がゆっくり、はっきりと話すようにした。(合理的配慮)
その後、店舗での簡単な接客手話を勉強する機会を設け、「ありがとうございました」等を手話で伝えられるようにした。(環境の整備)

※手話を使えない聴覚障害者も多いので、手話で話をする時は 相手が手話を使う人かどうか確認してください。(但し、手話を知らなくてもジェスチャーとして伝わる手話単語もあるので、手話を身振りとして使う場合は確認は不要です)

【Ⅱ. 生活場面例:医療・福祉】

(出典:内閣府 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」)
※文面は多少変えています。青文字は私個人の意見です。

事例Ⅱ-①
病院の面会予約をしたいが、聴覚障害があり電話でのやり取りが難しいため、メールで予約したい。
(対応例)
メールでの予約は誤送信や迷惑メールに入ってしまうおそれがあるため、職場の同僚や聞こえる周囲の人に電話で予約をしてもらうこととした。(合理的配慮)
その後、FAXを用いた事前予約も可能とすることとした。(環境の整備)

※周りに頼める人がいないことは多く、当事者としてはメール予約システムを使っている病院が有りがたいと感じています。(診療科目によっては他人に知られたくない場合もあるだろうし)

事例Ⅱ-②
病院のホームページの問合せ先が電話対応のみとなっている。電子メールやFAXでも対応できるようにしてほしい。
対応例)
ホームページに記載がなかったが、実際には電子メール及びFAXでも受け付けていることを伝えた。(合理的配慮)
その後、電子メール及びFAXによる受付が可能である旨をホームページに掲載することとした。(環境の整備)

※病院に限らず、ホームページに電話番号しか載せてない所が多いですが、聴覚障害者用の問い合わせ先としてメールやFAX番号も明記してほしいです。
※もう1つ、今の時代、携帯電話が主流となっているため、固定電話(FAX)を持っていない難聴者が増えています。現在は メールなど、FAXが無くても問い合わせが可能な方法が必要な時代に入っていると思います。

事例は以上です。
・・・・・・・・・・・・・・・
最後にまとめたかったけれど、長くなったので今日はここで終わりにします。
私は聴覚障害者で、難聴については避けることの出来ない自身の問題でもあるので、この配慮については「ナンチョーな私の気まぐれ日記」の中でも触れたいと思います。

難聴について興味を持たれた方は、以下の記事も参考にしてください。
■聴覚障害についての記事
■ナンチョーな私の気まぐれ日記

次回の合理的配慮では、「視覚障害」をまとめる予定です。

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