耳が聞こえるしくみと難聴の種類

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聴覚障害

【耳 No.1】

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■音とは何か?

私たちは毎日さまざまな音を聞いています。高い音、低い音、美しい音、不快な音、いろいろです。
私たちが聴いている音は、音源の振動が耳に伝わったものです。
例えば、大太鼓をドーンと叩くと太鼓が震えますよね。その振動が空気を伝わって耳に届き、ドーンという音が聴こえるのです。
なので 音と耳の間に振動を伝えるものが無ければ音は聴こえません。真空状態では聴こえないわけです。
そしてどんな物も音を発しているものは振動しています。
声を出しながら自分の喉に軽く手を当ててみれば喉が震えているのが分かるでしょう。
音が出ているテレビに触れたら 振動を感じるでしょう。
それが音の正体です。

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■音が聴こえる耳のしくみ

人間の耳は、1秒間に16回振動する低い音(16Hz)から2万回振動する高い音(20000Hz)まで聞くことができます。
音の高さによって1秒間に繰り返される振動の回数が異なるわけですが、これが空気中を伝わる時、その音の周波数と同じ回数だけ空気が振動し、それを繰り返しながら 私達の耳に届くのです。
Hz(ヘルツ)とは 音の高さの単位で 1秒間の周波数(振動数)を現しています。
※周波数が少ないほど音は低く、周波数が多いほど音は高くなります。

さて、例えば 先の大太鼓のドーンという音が聞こえた時、あなたの耳の中では何が起こっているのでしょうか。
まず、大太鼓の音の波(振動)が、空気を伝わってあなたの耳に届きます
その音の波に応じて、あなたの鼓膜は細かく振動します。
図で説明すると、耳介から入った音は外耳道を通って鼓膜まで届き、その振動が鼓膜の奥、すなわち中耳から内耳へと伝わっていきます。

(図:耳の構造)

鼓膜に伝わった振動がどのように伝わっていくのかというと、まず鼓膜に密着している[ツチ骨]に伝わり、その振動が[キヌタ骨]から[アブミ骨]へと伝わります
鼓膜からダイレクトに[蝸牛(カギュウ)]に振動を送らず、わざわざ3つの小さな骨(耳小骨)を通して振動を伝えるしくみになっている理由は、鼓膜の振動を増幅させるためです。
そして[アブミ骨]は[前庭窓(ゼンテイソウ)]という小さな膜に接合していて、この膜がビリビリと振動すると、その波が内耳の[蝸牛]の中を進んでいきます

こうやって伝わる音には、高い音もあれば、低い音もあり、普段私達の耳の中にはいろいろな周波数の音がたくさん入ってきますが、私達はどうやってこれらの音を聞き分けているのでしょうか。

この音の高低を振り分けているのが[蝸牛(カギュウ)]です。
カタツムリの形状に似ていることから[蝸牛]と呼ばれていますが、この骨の内部は非常に精密な構造になっています。
簡単に説明すると、[蝸牛]には[蝸牛管]が納まっていて、その内部はリンパ液で満たされています。鼓膜から耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)を経て伝わってきた振動はこのリンパを介して蝸牛管内部を進みます
音(振動によるリンパ液の揺れ)が蝸牛管のどこまで進むかは、音の高さ(周波数)によって異なり、音が低いほど奥の方まで届きます
蝸牛の内側には特殊な細胞(有毛細胞)が並んでいて、それらは配置場所によって担当している音の高さが違います。入り口に近いほど高く、奥に行くほど低くなります。蝸牛に伝わったリンパの揺れを その場所に配置されている有毛細胞がとらえ、それを電気信号に変えて蝸牛神経に伝えます
そして、その電気信号は蝸牛神経を通って大脳に伝えられ、大脳皮質の聴覚をつかさどる部位で信号が処理されて、ようやく音として認識することができるのです。

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■耳のどこかが損傷したらどうなる?

以上の通り、私達は外耳から脳まで、振動が伝わるしくみにより音を聞いているわけですが、この間のどこが損傷しても聴覚に障害が出ます。
外耳から中耳の振動を伝える部位が損傷すれば音全体が聞こえなくなりますし、蝸牛の中の有毛細胞が損傷すれば損傷個所の高さの音が聞こえなくなるので 聞こえる音と聞こえない音が生じて 言葉など複雑な構成の音を正確に聴くことができなくなります。
もっと奥の脳に信号を送る蝸牛神経が損傷すれば同じく言葉としての認識に問題が出ます。また、伝えられた信号を最終処理する脳が損傷すれば、これはもう耳の損傷レベルを超えてしまいます。
脳に近くなるほど致命的で、医学が発達している現代においても内耳から先の難聴を確実に治す方法はありません。

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■障害部位による難聴の種類

耳は「外耳」「中耳」「内耳」の3つに分かれています。(上図参照)
難聴の症状は、どの部位が障害されるかによって異なります。

外耳や中耳の障害によって音が小さくしか聞こえなくなる難聴は「伝音(デンオン)難聴」と言います。主に振動を伝える役割を担う器官の問題なので、音にひずみはなく、補聴器などで音を増幅すれば比較的良好な聞こえを取り戻せます。

音を脳に伝えるための電気信号に変える蝸牛が障害されると、音が聞こえないだけでなく、音がひずむなどの症状が出ます。これは「内耳性(ナイジセイ)難聴」と言います。
また、内耳の奥にある蝸牛神経など聴こえに関係する神経が原因の難聴は「後迷路性(コウメイロセイ)難聴」と言い、音は聞こえても言葉が聞き取れないという特徴があります。
この「内耳性難聴」と「後迷路性難聴」を合わせて「感音(カンオン)難聴」と言います。
「感音難聴」は原因不明のことも多く、また治療も難しく、多くの難聴者が感音難聴で苦しんでいます。

次回は、聴こえの音量を表すデシベルについて説明します。
「デシベル(dB)の差による聴こえの違いと難聴の種類について」

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[難聴関連の他の記事]
□体の学習帳「聴覚障害」記事一覧
□「難聴便利グッズ」
聴覚障害関係の記事は、この他「からだのエッセイ」や「感想」などでも数多く取り上げています。

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