飛蚊症と光視症

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からだの豆知識

【からだの豆知識「飛蚊症と光視症」】

何もないはずなのに目の前に黒い影や糸くずみたいなものが見える症状を「飛蚊症(ひぶんしょう)」、視野の一部に一瞬光が走って見える症状を「光視症(こうししょう)」と言います。

いきなり余談ですが、数ヶ月前に筆者もこの症状を体験しました。
突然、右目に飛蚊症が現れ、目を動かすと右端に光が走るので、心配になって眼科に飛び込みました。
幸い重篤な問題は見当たらず「飛蚊症が増えたら来てください」と言われただけで帰ってきました。
今も飛蚊症はあるけれど、光視症は数週間で自然に症状は出なくなりました。
自分に何が起こったのかを調べたついでに、光視症と飛蚊症についてまとめました。

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■光視症(こうししょう)とは

光視症とは、光が当たっていないのに、視野の中心や端に光が飛んで見えたり、チカチカ・キラキラ光を感じる症状で、これは硝子体の収縮により網膜が刺激を受けることで起こります。
硝子体とは、水晶体と網膜の間にあるゲル状の透明物質のことです。

光視症は飛蚊症と同様、網膜剥離などでも起こりますが、主に老化(加齢)による 後部硝子体剥離の過程で起こることが多いようです。
後部硝子体剥離とは、加齢が進むにつれて網膜から硝子体が剥がれていくことを言います。

なぜ光るのかと言うと、網膜と硝子体の癒着が強いと、その部位はすぐには剥がれないため、目を動かすたびに硝子体が揺れて網膜が引っ張られることになります。その網膜の刺激により 実際にはない光を感じるのです。
なので、網膜と硝子体の癒着がとれれば光は見えなくなります。

光視症は必ずしも網膜剥離や、網膜裂孔の前兆としての症状ではありませんが、中には網膜剥離等の重篤な疾患で起こっていることもあるので、光視症と思われるような症状が出た時は早めに眼科医の診察を受けてください。
重篤な疾患だった場合、処置が遅れると、最悪の場合は失明ということもありますので。

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■飛蚊症(ひぶんしょう)とは

目の前に実在しないゴミのようなものが見えるのが飛蚊症です。
このゴミのような飛蚊症の正体は眼の硝子体の濁りです。

硝子体とは 水晶体と網膜の間にあるゲル状の透明物質のことですが、この硝子体の中に起こる濁りが飛蚊症の正体で、小さな混濁物が網膜に影を映すので、目の前にあるように見えてしまいます。

硝子体が混濁する要因には大きく3つあります。
・生まれつきの場合
・加齢による場合
・病的な要因の場合

若い人で飛蚊症を訴える場合は、生まれつきの場合が多いです。
生まれる前の胎児の硝子体の中には細い血管がたくさんあり、通常は生まれる頃にはなくなるのですが、組織の一部が残ってしまう人もいて、これがフワフワ飛んで見えるのが生まれつきの飛蚊症です。
これは心配する必要はありません

加齢による飛蚊症は、硝子体の変化で起こります。
ゲル状の硝子体は 加齢とともにサラサラした液体とベトベトしたゲル状の液体に分離していきます。
サラサラした液体になることで硝子体と網膜の間に隙間ができ、硝子体が網膜から剥がれることがあり、これが先述の後部硝子体剥離です。そして この時にゲルの骨格成分である繊維が凝集して網膜に影を落とすことがあり、これが加齢性の飛蚊症の正体です。
この飛蚊症も 加齢による生理的変化なので治療の必要はありません

気にしなければならないのが、病的要因による飛蚊症です。
特に警戒が必要なのは網膜剥離や網膜裂孔の前兆としての飛蚊症です。
この他、糖尿病網膜症や高血圧性網膜症などによる出血、ぶどう膜炎など、病的要因の飛蚊症もあります。
これらは原因となった病気の治療が必要です。

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■網膜剥離と後部硝子体剥離の違い

飛蚊症の主な原因を簡単に説明しましたが、説明の中に剥離の名称が2つありました。
「後部硝子体剥離」「網膜剥離」です。
初めて耳にした人には何が違うのかよく分からないと思うので、違いを簡単に説明しておきます。

硝子体剥離とは、硝子体と網膜が剥がれる現象で、これ自体は病気ではありません。
加齢とともに誰にでもなる可能性のある老化現象です。

一方、網膜剥離は、光を感じ取る感覚網膜が色素上皮から剥がれてしまう病気で、こちらは失明の可能性があるので早めの治療が必要です。
ちなみに 網膜剥離の原因には大きく2つあります。
・物が目に当たるなどの外傷性の場合。
・加齢に伴う後部硝子体剥離が原因の場合。

なぜ 後部硝子体剥離が網膜剥離を引き起こすことがあるのかというと、網膜と硝子体がきれいに剥がれれば良いのですが、ゲル状の硝子体と網膜との癒着が強い場所や 病的に網膜が薄い部分があったり、網膜の一部が引っ張られる状態が長く続いたりすると、網膜に亀裂ができることがあります。
この網膜の亀裂から硝子体の液体成分が網膜の裏側にまわり、網膜の下にある網膜色素上皮と網膜を剥離してしまうのです。

網膜剥離は処置が遅れると失明するかもしれない怖い病気なので、飛蚊症や光視症が現れた時は、自己判断で加齢のせいだと決めつけず、眼科医の診察を受けるようにしてください。

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