若年発症型両側性感音難聴(指定難病304)について知りたい

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からだの豆知識

【からだの豆知識「若年発症型両側性感音難聴」】

最近ドラマの影響で耳にするようになった「若年発症型両側性感音難聴」。
原因不明の難聴の私は、20代で難聴を発症し、軽度から現在重度手前まで進行しているが、これまで診てもらった医師からは「両側性の感音難聴」としか言われたことがないので、この名称の難聴がどういう難聴なのか調べてみた。

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■「若年発症型両側性感音難聴」の概要

厚生労働省の資料に書かれている内容を簡単な言葉でザッとまとめると以下の通り。

従来から原因不明の感音難聴の内、両耳に起こる進行性の難聴を「特発性両側性感音難聴」と呼んでいた。これは老人性難聴との鑑別が容易ではなかったため、鑑別診断に年齢要件を加えることにした。
そしてもう1つ。
「若年発症型両側性感音難聴」の診断には、遅発性の難聴を引き起こす原因遺伝子が遺伝子検査で見つかっていることも要件に加わった。但し、これには除外要件があり、難聴の原因がその他の外的要因(騒音・外傷・薬剤・急性ウイルス感染等)の場合は除外される。

「若年発症型両側性感音難聴」については 有効な治療法が確立されておらず、聴力に応じて補聴器や人工内耳による補聴が対症的に行われている。

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■「若年発症型両側性感音難聴」の症状

①両側性(両耳)の難聴
若年(40歳未満)に発症する両側性の感音難聴で、難聴の程度は軽度から高度まで様々。
例えば、軽度や中等度レベルの難聴で発症し、その後進行して両耳重度の難聴や聾(失聴)になるなど。

②随伴症状
難聴の進行に伴い耳鳴りやめまいなどの症状を合併する例も多い。

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■「若年発症型両側性感音難聴」の原因遺伝子と特徴

若年発症型両側性感音難聴の病態は不明だが、様々な遺伝子の関与が明らかになってきている。

【原因遺伝子と臨床的特徴】

*ACTG1遺伝子(常染色体優性遺伝)
 聴力像は「高音急墜型」。
 随伴症状「耳鳴り」。

*CDH23遺伝子(常染色体劣性遺伝)
 聴力像は「高音急墜型」「高音漸傾型」。
 随伴症状「耳鳴り」。

*COCH遺伝子(常染色体優性遺伝)
 聴力像は「高音漸傾型」「水平型」。
 随伴症状「反復するめまい」「耳鳴り」。

*KCNQ4遺伝子(常染色体優性遺伝)
 聴力像は「高音急墜型」。
 随伴症状「耳鳴り」。

*TECTA遺伝子(常染色体優性遺伝)
 聴力像は「皿型」「高音漸傾型」。

*TMPRSS3遺伝子(常染色体劣性遺伝)
 聴力像は「高音急墜型」「高音漸傾型」。
 随伴症状「耳鳴り」。

*WFS1遺伝子(常染色体優性遺伝)
 聴力像は「低音障害型」。
 随伴症状は稀に「Optic Atrophy」や「糖尿病」を合併することがある。

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■「若年発症型両側性感音難聴」は指定難病

「難病」とは、簡単に言えば治療方法が分からず、治療困難なまま慢性の経過をたどる疾病のことだが、昭和47年に定められた「難病対策要綱」(旧:厚労省)では、「(1)原因不明治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病」「(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」と定義されている。

この難聴の治療方法の確立に役立てるために、平成26年5月「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成27年1月1日施行)が制定された。
主な目的は難病患者の効率的なデータ収集と治療研究の推進。そして、治療方法が確立されるまでの長期療養による患者の医療費の経済的負担を支援すること。

この指定難病に「若年発症型両側性感音難聴」が入っている。

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■指定難病の診断基準

「若年発症型両側性感音難聴」の診断には、以下の3つの要件を満たす必要がある。
遅発性 且つ 若年(40歳未満)の発症
両側性(両耳)の難聴
③遅発性難聴を引き起こす原因遺伝子が同定されており、既知の外的因子によるものが除かれている。
この3つの条件を満たす患者の内、聴こえが良い方の耳の平均聴力(500Hz、1000Hz、2000Hzの平均値)が70dB以上である人が指定難病の対象となる。

因みに指定難病の認定の際に問題になりやすいのが40歳未満の発症と進行の証明。
厚生労働省の解説では、「新生児聴覚検査、1歳半健診、3歳児健診、就学時健診のいずれかの時点において難聴がないことを証明できるもの」「耳鼻咽喉科にて標準純音聴力検査を施行し、観察期間中に難聴の進行があることが証明できたもの」とあるが、実際には乳幼児期に検査を受けているケースは少ないので、観察期間中の難聴の進行で証明することになる。

(参考に)
厚生労働省のHPの「平成27年7月1日施行の指定難病(告示番号111~306)」の頁に、疾病別に概要や診断基準が公開されています。
  ↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079293.html

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