ナンチョーな私の気まぐれ日記(25)難聴の初期症状(私の場合)

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ナンチョーな私の気まぐれ日記

私は20代発症の難聴者です。
それまでは普通に聴こえていたので、難聴の始まりはショックなだけによく覚えています。

ひとえに難聴と言っても、発症の原因も過程も症状も聴こえ具合も人によって違います。
私のようにある日突然鳴り響き出した大音量の耳鳴りから始まる人もいれば、朝起きたら耳が聴こえなくなっていたという人もいます。
私と同じ進行性難聴でも、私のようにゆっくり低下する人もいれば、数年で殆どの音を失う人もいます。

私は最初のうちは難聴の自覚はありませんでした。
耳鳴りで病院に飛び込んだら、高音が低下していると指摘されて「そうなんだ」と思った程度です。
当時は耳鳴りがうるさ過ぎて聴こえにくいとは思っていたけれど、普通に声は聴こえていたからでした。
だけど今振り返ると、まだ正常だと思っていた時も、実はそうではなかったかも・・・と思うことがあります。

今回は難聴の自覚が無かった頃から自覚を持ち始めた頃のことを話します。

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■発症当時の私の聴こえ

難聴の状態は人によって全然違うので、発症当時の私の耳の状態について少し説明しておきます。

私の難聴の始まりは、仕事中に突然起こった大音量の耳鳴りが始まりです。
耳鳴りの音の質や音量は、まさに非常ベルという感じでした。
今でも覚えていますが、発症は朝の9時過ぎです。
当時勤めていた会社は8時半始業だったので、皆、自分たちの業務に集中しはじめた時間でした。
突然、けたたましい非常ベルが鳴り始め、ドキッとした私は顔をあげて周りを見ました。
普通、けたたましい音が鳴れば誰でも状況を把握しようと顔を上げますが、不安そうに顔を上げたのは私だけで、皆は普通に仕事を続けていました。
それを見た私は「え!? なんで?」「私だけ?」と脳内パニックです。
どうやら自分の耳鳴りらしいと気づいたものの、今までに経験したことも想像したこともないレベルの耳鳴りでしたから、体内で何が起こっているのかと大パニックです。
ひどく動揺した私は、何を思ったか「どうしよう、どうしよう」と事務所の外に走り出てしまいました。
結局、廊下に出た瞬間「いったい手ぶらでどこに行こうというのだ?」と冷静に戻り、その後は自分の席に戻って仕事を続けました。
耳鳴りが始まった時は さすがに音にビビりましたが、治ると思っていたので その後はわりと楽観的でした。

翌日、近所の耳鼻科に行くと、大きい病院で検査してもらった方が良いと言われて、後日会社の近くの総合病院に行きました。
高音の聴力が低下していることを指摘されたけれど、人との会話で使っている周波数はそれほど落ちていたわけではなかったので、難聴を指摘されてもピンときませんでした。

私の場合、非常ベルと同レベルの耳鳴りだったので、感覚としては騒音の中で人と話をするような聴こえにくさでした。なので、耳鳴りさえ無くなれば元に戻るみたいに思っていました。

だけど実際の騒音とは違います。
本物の非常ベルならば、音源の隣で普通に会話するのは無理です。
だけど私は、会話で使う周波数(音の高さ)のダメージが低かったので、耳鳴りがいくらうるさくても、普通の音量で会話はできていました。

但し、聴力低下を指摘された高音は、非常ベル音に飲み込まれてしまうような感じで、音を拾い上げることはできませんでした。
これは耳鳴りの音の高さ(周波数)が 聴力低下を指摘された音の高さ(周波数)と同じだったと推測できます。
自分の感覚では耳鳴りが邪魔で聴こえないと感じているけれど、実際はその音域は聴力低下しているから聴こえなかったのだと思います。

これが私の難聴の出発点で、ここから徐々に難聴が進行して行きます。
知識の無かったその頃の私は、自分の感覚は正しいという健聴時代の延長上にいたので、比較対象が無い限り自分の異常に気付かず過ごしていました。

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■「ヤバイよ」サイン

自覚症状ではある日突然難聴になった感が強いのですが、私にも前兆はありました。
発症当時の私は営業アシスタントの仕事をしていて、自分の課の営業マンのクレームの電話はすべて私が対応していました。
工場に製品の部品を納品する会社だったので、納期が少しでも遅れるとガンガン電話が鳴りました。
営業マンが逃げまくるため、カンカンに怒った顧客の怒鳴り声を聞くのは私です。
電話で怒鳴られると耳がキーンとします。
このクレームが私の課は異常に多くて、1日中怒鳴られていることもありました。
あまりに電話量が多いため、受話器を肩に挟んで自分の仕事をしながら対応します。すると突然大声で怒鳴られても瞬時に受話器を耳から離すことができないので、何度も耳が壊れるかという思いをしました。
朝から晩まで受話器を耳に当てっ放しの日が増えたことで、お昼の休憩時間や定時終了で電話から解放された時、耳が騒音に晒された後のような詰まった感じになっていることが増えました。
その矢先の耳鳴りでした。
医師からは騒音性難聴の可能性があると言われたので、真っ先に浮かんだのはこの電話の怒鳴り声でした。だけど医師が言うには 電話の音量程度ではこうはならないとのことでした。
医師の判断はどうであれ、毎日のように怒鳴り声にさらされ、物理的にも精神的にもストレスを耳で受けていたのは事実。
難聴の主原因ではなかったとしても、難聴の発症の引き金になった可能性は高いと私は思っています。

そんなんで、私の難聴はある日突然発症したのではなく、耳が詰まった状態になるという段階を経ての発症でした。

密閉した空間で大音量の音楽を聴いたり、イヤホーンで音楽を長時間聴くなど耳を酷使している人がいますが、耳に調子悪さを感じたならば 内耳の有毛細胞が傷ついているかもしれません。そういう時はしばらく耳を休めてあげてください。
酷使を繰り返せば細胞は破壊されてしまい、そうなってしまえば元には戻りません。

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■ドラマのBGMが大き過ぎる

今、振り返ると、あれは私の耳がおかしかったのかも・・・と思うことに、ドラマのバックに流れるBGMがあります。
当時、ドラマはわりと見ていました。
私が見なくても家族が見ていれば何となく一緒に見ていたので結構見ていたと思います。

ドラマでは効果を出すために音楽を使います。
BGMなるものが聴こえなくなってから久しいので、今も昔と同じような感じで音楽を入れているのかは分かりませんが、例えば自分の生い立ちを語ったり、気持ちを語ったりするような長い台詞の時にはバックに音楽が流れているのではないかと思います。

昔、この台詞のバックに流れる音楽に対して、不満を言っていたことがあります。
「最近のドラマは、音楽を大きく入れ過ぎだよね」「台詞が音楽で聴こえないって分からないかなあ」など、友人や家族にBGMが大き過ぎると愚痴っていました。
自分の耳は正常だと思っている私は、臨場感を上げるために音楽を大きくしているのだと思っていたのです。

この文句に対して誰も反論しなかったし、なかには「そう思う」という人もいたので、実際にそうだったのかもしれませんが、振り返るとその頃の私はすでに難聴を発症していたので、聴こえ方の変化がBGMの大きさの感じ方に影響した可能性は多分にあります。

健康な耳の場合、カクテルパーティー効果といって、大勢が話をしているザワザワと煩い環境の中でも聞きたい人の声を拾うことができます。難聴になるとこの能力は失われます
テレビで全く同じ効果を発揮できるのかは分かりませんが、少なくとも音が混じり合うと難聴者は特定の音を拾い上げるのは難しくなります

特に私の聴こえは周波数による聴こえの差が大きかったので、耳に届く音はアンバランス
当然、低下している周波数の音は届きにくいし、普通に聴こえる音は低下している音より大きく聴こえるので 普通の人とは違ったふうに聴こえていた可能性は大きいです。

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■正しいと思っていた私の耳は間違いだらけ

私が自分の耳が信用できないということに気づいたのは、電話番号案内の数字の聞き間違いからでした。
仕事で番号案内を使っていた時、何度掛けても「おかけになった電話番号は現在・・・」というアナウンスが流れてしまうのです。
この話は前回少し触れたのですが、とてもショックだったのでもう少し話させてください。

発症から数年経っていた頃だったと思いますが、この頃になると、車で後ろの座席に座っていると、前に座っている人の声が聴こえづらくなっていました。
だけどそれ以外はまだ普段の会話で困ることはありませんでした。

もちろん セミの鳴き声がほとんど聴こえなくなっていたので高音を喪失している自覚はあったし、電話で聞き慣れないカタカナの社名を名乗られると聞き間違うこともあったので 悪くなっている自覚はありましたが、この程度の聴き間違いは健聴者でもあるので、自分の耳が信用できないとまでは思っていませんでした。

それだけに、電話番号で「0」と「9」が聞き分けられなくなっている事実を知った時には相当にショックでした。
確か「0」が「9」に聴こえる間違いだったと思います。
何度聴いても自分には「9」と聴こえるのに、掛けると「お掛けになった電話番号は・・・」となってしまうのです。
ちなみに「9」を「0」に変えて掛け直すと繋ります。
これはショックでしばらく立ち直れませんでした。
そりゃそうです。自分の聴こえる音が狂っているとなると、自分の耳は100%信用できないわけで、しかも母音が同じなら聞き間違いに注意できるけれど、母音が全く違う言葉に変形して聴こえるとなるとお手上げです。
この日を境に、人から読んでもらいながらPCに入力するみたいな仕事の仕方はしなくなりました。時間がかかっても目で見て入力した方が確かですから。

余談ですが、最近では データの容量を表すGBとTBで同じようなことがありました。
今の私は全音不鮮明なので口の動きとセットで勘で聞き取っていますが、「1テラ」というのが「1ギガ」にどうしても聴こえてしまうというのを味わいました。
さすがに単位が違い過ぎるので、1GBの話ではないことは推測できるので、「テラ」と予測して聴いているのですが、なぜか「テラ」ではなく「ギガ」に近い音で聴こえるのです。
すべてがこんな調子なので もう慣れっこですが、ほんとに自分の耳は信用できません
こんな耳でよく働けているなと思います。

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■トイレの流水音(余談)

ちょっと余談です。
初期の話ではなく、中等度から現在に至るまでの話です。
下ネタ的なので書くのは躊躇したけれど、やっぱり書いちゃいます。

現代は流水音のボタンを設置したトイレが増えていますが、私の会社のビルにも音を消すための流水音の装置があります。
私はトイレに行くたび利用しています。
皆も使っています。
だけど皆が聴いている流水音と私の聴いている流水音は全く違うと思います。
私の耳は、発症当時から高音のダメージが大きく、高音は重度難聴なのに低音は正常という時期が非常に長かったのですが、中間の音がだいぶ下がってしまった時、音消しの流水音の音量も大幅にダウンしました。

すると、何が起こったか・・・
低音だけよく聴こえるせいで、流水音を流しても、自分の音が聴こえるという事が出てきました。
補聴器をしてからも、低音を抜く耳栓を使っていた時には同じことを感じていました。
会社のトイレで使っている流水音には低い周波数が入っていないからかもしれませんが、私にとっては音消しの音量が小さくしか聴こえないので、低音は消されることなく聴こえてしまうようなのです。
たぶん正常な耳の場合、大きな音が鳴っていれば、音の周波数に関係なく音量で音がかき消されると思いますが、低音だけしか残っていない場合、音消しの流水音に低音が混じっていない限り音の妨害を受けないのかなと?と思ったりします。
聴こえなくても煩い場所だと声が届きにくくなるのに、トイレの音はかき消されないということはあるのだろうかとトイレに行くたびに考えてしまいます。

ちなみに水の音は、みんなが聴いている音とは全く違います。
低音しか聴こえない私の耳では、チャポンやピチャピチャという響く系の音は補聴器をしても聴こえません。
水を流している音も高音は聴こえません。

健聴だといろんな音が大量に耳に入ってきますが、低音だけだと多くの騒音は耳に入ってこないので騒音のレベルは下がります。
そのせいか、だいぶ低下が進行した中等度難聴の時に、少し離れた場所のスマホのバイブ音に気づいて「電話鳴ってるよ」と人に教えてあげたら、「あの音が聴こえるの?」と驚かれたことがありました。
驚いたのは無理もないことかもしれません。
なにせ普段は、高音の警告音が鳴っていても聴こえなくて「この音が聴こえないの?」と驚かれていたのですから、ギャップは確かに大きいです。

だけどその時に私が思っていたのは逆です。
「けっこう大きい音なのに、この音が聴こえてなかったの?」ということです。
考えてみると、私は周りの騒音に全く気づいていなかっただけで、結構煩かったのかもしれません。
アンバランスな聴こえになると、どうやら音の世界自体が全然違ってしまうようです。

今の私は音質が分からないし、言葉はほとんど聞き取れません
そして 聞き取れたと自分で思ったとしても、それが正しいかの自信は全くありません
今の私の聴こえは、全ての音が完全に破壊されてしまっています。
自信があることと言えば、聴こえる音は全て原型をとどめていない。これには自信があります。
こんな自信はない方が良いのだけど (^^;)

余談が長くなりました。
最後に老婆心で一言。
『もしも耳に不調を感じたなら早めに耳鼻科で診てもらってください』
難聴は固定してしまうと今の医学では治せません。
治療は発症初期にしかチャンスはないので、今までと違っておかしいと感じたなら、直ぐに検査だけでもしてほしいと思います。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
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[前回のナンチョー日記]
  ↓
ナンチョーな私の気まぐれ日記(24)聞き取れないってどんな感じ?

[次回のナンチョー日記]
  ↓
ナンチョーな私の気まぐれ日記(26)字幕に感謝

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