弱視とは?「どういうのを弱視というのだろう」

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からだの豆知識

【からだの豆知識「弱視」】

「弱視」は、漢字が示すように低視力のことであるが、具体的なことは知らないので調べてみた。
調べてみると、弱視は2つの意味で使われているらしい。
「社会的・教育的」弱視と、「医学的」弱視だ。
一般には「一定限度以下の視力の人」を弱視というようだが、医学的には「視力の発達が障害されておきた低視力」を指す。
前者の弱視は「両目の矯正視力が0.3未満」、すなわち眼鏡をかけても0.3以上の視力が出ない人が弱視ということになる。
この社会的・教育的弱視のことは、ロービジョンともいう。

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■医学的弱視

医学的弱視とは、子どもの視力の発達が何らかの原因で妨げられて起こる弱視で、これには臨界期が大きく影響する。
子どもは生まれた時から見えているわけではない。生まれたばかりの時は明るいか暗いかぐらいしか分からない。
視力的には、0歳で0.1程度と言われ、3歳位で多くの子どもが1.0位まで見えるようになる。
だけど勝手に見えるようになるわけではなく、視力は使わなければ発達しない。
なぜ使わないと発達しないのか。
それは見るためには脳に伝達する必要があるからだ。
もう少し詳しく書くと、目は網膜に像を映す。だけど、網膜に像が映っただけで見えるわけではない。映った像の情報が視神経を通って脳に伝達されなければ私達は見たと認識することはできない。
この脳に伝達する回路、伝達された情報を処理する回路、これらの回路を形成するためには 繰り返しの刺激が必要なのである。

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■臨界期

私達の脳は、生まれた直後から、外界の刺激(環境)に合わせて適応が始まる。
赤ちゃんは様々な機能を発達させる可能性を持って生まれて来るが、それらは勝手に発達するわけではない。
発達するためには、脳に刺激(情報)が入らねばならない。

例えば、真っ暗闇で目に一切の刺激が入らない環境で育ったならば、視覚に回路を作る必要がないので、見えるようにはならない。
目の臨界期で有名な実験に、子猫を使った実験がある。
生後間もない子猫の片目を数週間塞ぐという可哀想な実験だが、結果は子猫の目を開いても、子猫の目は見えるようにはならなかった。
同様の実験を視力獲得後の大人の猫にした場合は、開けば視力は回復した。
この実験で分かったことは、視力獲得前の子どもの目を塞ぐと、回路を形成するチャンスを一生失ってしまうということである。

イメージ的に説明すると、生まれたばかりの赤ちゃんの脳は配線が未完成で、この配線の工事は外から刺激が入って来ることにより進められる。
刺激があると回線が作られ、繰り返しの刺激で強化される。使わなければ消滅するし、刺激があれば新たに回線が作られたり、繋がったりする。
視覚も目から入って来る刺激(画像情報)により、情報を伝達・処理する回線が育っていく。
いつまでも刺激が入らなければ工事は開始されない。
この工事には期限があって、期限内に刺激が入らなければ、脳はこの機能は要らないと判断して準備していた工事現場を片付けてしまう。これが臨界期である。

ちなみに、片目が正常なら、片目が弱視でも大丈夫なのではないかと思う人もいるようだが、物の正しい立体感や遠近感を得るためには両眼が必要で、この左右の像を1つにまとめる「両眼視」も生後に培う能力なので、幼児期にこの能力を獲得しておかねば、やはり、将来苦労することになる。

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■弱視の原因

それでは、どういう時に弱視になるのかだが、原因はいくつか考えられる。
1つは「斜視」。
生まれつき斜視の場合、斜視の目は使われないので視力が発達せずに弱視になる。斜視による弱視は「斜視弱視」という。
もう1つは、遠視などで起こる弱視がある。
両眼の「屈折異常弱視」と、片眼の「不同視弱視」があるが、要するにピントが合わず、生まれつきはっきり物が見えないために視力が成長できずに弱視になるケースである。
そして、このほかに「先天白内障」や「角膜混濁」「眼窩腫瘍」「眼瞼腫瘍」「眼瞼下垂」、また眼帯等により視覚が妨げられることが原因で起こる「廃用性弱視」がある。

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■視力は早期発見、早期治療が大切

視力の獲得は4歳までが重要とされており、6歳を超えると治療の成果は出にくくなる。
なので、子どもの視覚の異常は、早期発見、早期治療が大事なのだが、多少でも見えていると、幼児の行動は普通に見えるため、なかなか気付きにくい。
また当事者本人も見える状態を知らないので、子どもの方から見えないと訴えてくることもない。
だけど発見が遅れると治療のチャンスを逃してしまうので、3歳児検診の視力検査は必ず受けるようにしたい。

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