網膜剥離で失明の危機

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からだの豆知識

【からだの豆知識「網膜剥離」】

私の知人が網膜剥離で失明しかけました。
ある日の夜、目に光が走ったそうで、その翌日には上半分が見えなくなって慌てて眼科に飛び込んだそうです。
医師からは今直ぐ手術する必要があると言われ、直ぐに手術が出来る病院を探し、翌日手術することになりました。
だけど、手術待ちのたった1日が致命的症状へと進行し、手術の時には中央まで剥がれてしまい、視界に歪みを残すことになりました。
網膜剥離は初期だとレーザーで簡単に治せますが、剥離してしまうと大変です。
知人の手術は光を残せるかどうかも危ない状態で行われました。

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■網膜とは

私達の目が見えるのは、目から入った光の情報が視神経を通して脳まで届くからです。
目から入った光は角膜、水晶体、硝子体を通り抜けて、網膜で焦点を結び、この映像が視神経を通って脳に伝達されます。
網膜は光の像を結ぶ大事な部位ですが、特に中央部は視細胞が密集した最も感度の高い場所なので、網膜剥離が中央まで及ぶと手術をしても元の視力を取り戻すことが困難になります。

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■網膜剥離

網膜剥離とは、眼球の内側にある網膜という膜が剥がれて、視力が低下する病気です。
目の中に入ってきた光の情報を、脳に繋がる視神経に伝達する部位なので、ここが剥がれると失明します。
網膜剥離は、特に20代と50代に多いと言われますが、若い人の網膜剥離は元々網膜に変性した部位や萎縮があるなどで網膜が薄くなっているために起こるケースが多いようです。
一方、中高年の網膜剥離は、硝子体の液化が影響することが多いです。
硝子体とは、目の中にある透明なゲル状の物質が詰まっているところですが、年を取るにつれて水っぽくなり、水分とゲル状の部分に分離していきます。そのことによって硝子体が委縮して剥離の原因ができるのです。
私の知人は50代でまさにこれでした。
数年前に網膜裂孔でレーザー治療を受けていて、剥離の可能性を持つ目だったにも関わらず、多少の不調があっても検診に行かなかった結果、失明の危機を招いてしまいました。

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■網膜裂孔とは

網膜裂孔とは、網膜に生じた破れ目のことで、放置すると網膜剥離を引き起こす原因になります。
網膜裂孔にも種類があるようで、硝子体の変性や萎縮によって生じる「萎縮性裂孔」と、硝子体と網膜が癒着することで、網膜が硝子体に引っ張られて生じる「牽引性裂孔」があります。特に「牽引性裂孔」は網膜剥離しやすいので要注意です。

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■網膜剥離は早期発見が大切

網膜剥離は、治療が早ければ早いほど視力への影響が小さいので、早期発見と速やかな治療が大切です。
痛みがないので、放置しがちになりますが、次のような症状が出た時は眼科で検査してもらいましょう。
*目の前を蚊のような黒く動くものがチラチラ見える(飛蚊症)
*ピカピカと光が見える。光が走る。(光視症)
*視野全体が暗い。煤がかかったように見える。
*見たいものがはっきり見えない。
*ものが歪んで見える。
*見える範囲が狭い。(視野欠損)
特に中高年の網膜剥離は剥離が始まると進行が速いです。視野欠損が始まってからでは手遅れになるリスクが非常に高いので、いつもと違うと感じたならば、取りあえず眼科で診てもらってください。

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■知人が受けた治療

知人は、数年前に網膜裂孔が発見され、その時は直ぐにレーザーで治療してもらったそうです。
これは瞳孔から網膜の穴にレーザーを照射して焼き付ける治療ですが、この処置をすると、裂け目の周囲の網膜とその下の組織がくっつくため、網膜が剥がれにくくなります。
知人はこの時の網膜裂孔が網膜剥離の初期の状態だとは思っていなかったので、その後多少の不調があっても呑気に構えていたそうです。

今回は視野欠損まで進んだ網膜剥離で、それも中央部まで剥離が進んでいたのでまさに失明の危機に晒された状態でした。
一般に「強膜バックリング術(網膜復位術)」と「硝子体手術」があるようですが、知人が受けた手術は「硝子体手術」。
硝子体手術は、眼球の白目に3カ所小さな穴を開けて、細い器具を眼内に入れて操作します。硝子体を切除し、必要な処置をしたのち、ガスを注入して網膜を元の位置に戻します。患者の年齢によっては白内障手術を同時に行うことも多いようですが、知人も水晶体を取って人工レンズに置き換えられたそうです。
術後は注入したガスが軽いので、網膜をおさえるためにうつむき姿勢を続ける必要があります。
これはガスの浮力を利用して網膜を内側から眼球壁に押さえつけて再接着するためですが、ここからは患者が頑張る番です。
うつむき姿勢の期間は患部の状態や手術部位によって違うようで、比較的短時間のうつむき姿勢で済む場合もあるようですが、知人の場合は目安は10日間と説明を受け、結局2週間ぐらいうつむき生活をしていたと思います。

大変な手術だったみたいですが、どうにかこうにか知人は 失明だけは免れました。
但し、歪みは残ってしまったようです。
視界の左右バランスも悪いと言っていますが、剥離の程度が大きい場合は視力改善に半年~1年かかるとも言われているので、術後数ヶ月の知人はまだ多少でも改善する可能性はあります。
少しでも良くなることを願います。

網膜剥離で失明の危機に晒されて以降、今でも知人がよく口にするのは、あの時に眼科に行っておけばとの後悔の言葉です。
私達は痛みが出れば心配になって病院に行きますが、網膜剥離は痛みがないので多少の目の不調は気にせず放置されがちですが、目は失うと恐いです。
不調を感じたら、放置せずに必ず眼科で診てもらいましょう。

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