人によって見ている色は違うのかも

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からだの豆知識

からだのエッセイ 第7回

たいていの人は、自分が見ている色が正解だと思って暮らしています。自分が「紫がかった赤」に見えるのならば皆も同じ色を見ていると思っています。
だけど本当にそうなのでしょうか?
エメラルドグリーンに輝く海を見て「綺麗な海の色だね」と感動している人達は果たして同じ色を見ているのでしょうか。
雲一つない青空がとても澄んでいて、あまりの美しさにうっとりすることがありますが、空を見上げている人は皆同じ青を見ているのでしょうか。
真っ赤なもみじに感動している人は同じ赤に感動しているのでしょうか。

社会に出たばかりの若い頃、海外の画家の展示会をしていたのでフラリと覗いて高額な絵を衝動買いしたことがありました。貯金は無いので生まれて初めてのローンで買いました。
すごく大きな絵で飾る場所もなく、しばらく納戸で眠らせるハメになってしまった苦い思い出のある絵なのですが、その絵を見るたびに、購入時に対応してくれた販売員の方の話を思い出します。
その人が言うには、欧米で売れる絵と日本で売れる絵は違うのだそうです。
赤と青の絵があった場合、欧米では赤の方がよく売れ、日本では青の方がよく売れるのだそうです。
その理由について、その人は、目の色に関係があるのではないかと言っていました。瞳の色が薄い人より、濃い人の方が、繊細な色が分かるのだと言うのです。だから瞳の色が薄い欧米人は、はっきりした赤色を好む人が多いというのがその人の説でした。

この説が正しいかどうかは分かりませんが、日本人が欧米人よりも色に関しては繊細だというのは私も本で読んだことがあります。だけどこれは身体的な話ではなく、美に関する感性の話です。
なので、単純に目の持つ特性だけで、色の好みを語ることはできません。
例えば、日本には「わび・さび」(詫び・寂び)の文化がありますが、この感性は日本人独特の精神的なものも含んでいるため一言で言い表せるものではありませんが、静かで質素と説明されることが多いです。
要するに、自然で質素で派手さがないわけで、こういう日本独特の美意識や 風土は 当然色に対する感性にも影響していると思います。
だけど、目の特性による説も捨てがたいです。見え方の違いは当然感性にも影響しますし、色の見え方には確かに個人差があります。

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■「赤と緑のどちらの方がよく見えますか」の視力テスト

視力検査をしている時、赤と緑の表が並んでいて「赤い方と緑の方ではどちらの方がはっきり見えますか」と聞かれたことはありませんか。
この検査は、眼鏡の度数が合っているかを確認する時によく行われる検査です。
視力が適正であれば両方は同じように見えますが、視力が適正でない場合はどちらか一方の色が見えやすいと感じます。
なぜ赤と緑で見え方に違いが出るのでしょうか?

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■「レッドグリーンテスト」(赤緑テスト)の見え方の違いはどうして生じるのか?

雨上がりに空に発生する7色の虹がなぜできるのかというと、それは空気中の水滴がプリズムの役割をして、太陽の光が屈折・反射することで光が分解されるからです。
これは、色によって波長が異なるから発生する現象で、光のスペクトルは赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の順に並んでいて、最も波長の長い部分が赤く見え、短い部分が紫に見えます。
目の中には水晶体というレンズの役割をするものがあって、そこで光が屈折するので、目の中でも波長による見え方の違いが生じます。
人が物を見る時、目の奥にある網膜にピントが合わなければ、はっきりした像を見ることはできません。もしも 網膜の手前で焦点を結んだならば像はぼやけてしまいます。また、網膜を越えた辺りに焦点を結んでも 像はぼやけてしまいます。
このピントがきちんと合っているかどうかを確かめる方法の1つが「レッドグリーンテスト」で、このテストは波長(色)による見え方の違いを利用して、簡易に近視状態か遠視状態かを確かめることができるので、メガネのレンズの度数合わせをする時にとても便利です。

原理は次の通りです。
人間の目は各色の中で中間の黄色にピントが合うようにできているそうで、基本的には網膜の位置に黄色、手前に緑、奥に赤というピントが適正な視力ということになります。(下図参照)

「近視」は黄色の焦点が網膜に届いていない状態です。この場合、緑はもっと手前、すなわち網膜から離れたところに焦点を結びます。逆に赤は網膜に近い側で焦点を結びますので、近視の場合は網膜に近い「赤」の方がよく見えるということになります。(下図参照)

「遠視」の場合は黄色の焦点が網膜を越えているので、波長が短い「緑」の方がよく見えます。(下図参照)

目の機能を近視・遠視で捉えただけでも、色の見え方は違うのですね。

ここからは自分の体験談です。

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■白内障になると色の見え方が変わる

私は30代に入ってすぐに左目だけ白内障を患ってしまいました。
目の異常に気づいたのは、雨の日の夜間に車を運転していると、フロントガラスの光が花火のように散って見えて、すごく運転しにくくなったからでした。
ある日、たまたま右目にゴミが入って、左目だけでカラフルなチラシを見ていると さっきまで見ていた色とは違う色に見えることに気がつきました。改めて 片目ずつ 見え方を確認しましたら、なんと金赤と呼ばれるド派手な赤が、白内障を発症した左目ではピンク系の色に見えるのです。何度見ても色が違います。この明らかな色の違いに私は愕然としました。
自分の目が、色の識別を正確にできなくなっているのだと思うと大変ショックでした。
もし、最初から赤がピンクに見えていたならば、私はきっとピンクに見えるこの色を赤だと思っていたことでしょう。
この体験は正常な右目さえも疑がってしまうほどの衝撃でした。
ちなみに両目で見ていると、両目からの情報が混じり合って、自分では普通に見えているつもりなのですが、両目で見ているのと、正常な右目だけで見るのとでは、色のクリア度が全く異なり、目の状態によって色はここまで変化するのだということを体験しました。
私の場合は、たまたま左目だけ発症し、右目は正常なままだったので 比較することで 色の見え方の明らかな違いに気づけましたが、もしも両目で発症したならば見えにくくなったとしか感じられなかったかもしれません。

こういう体験をすると、色の見え方については絶対がないと思うようになります。
勝手に想像するに、人は皆、同じ景色を見ていても微妙に違う色を見ているのではないかと思っています。
私たちの目は、光の波長の違いを色として認識しているだけで、光の入り方が少しでも変われば当然見え方に影響するでしょうし、普段あまり意識はしていませんが天候によっても色の見え方は変化しているはずです。絶えず変化する色を同じ色だと認識できるのは脳の処理能力のおかげであって、私達は自分達が認識する以上に、色の洪水の中で生きているのだろう思います。
まさにこの世界は “色々” です。

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